gallery indexへ




 壜

     やわらかい菜の花がどこまでもどこまでも水のように泡だっていて
     私の瞳はずっとその黄色と空の透明のちょうど境目あたりから
     離すことができなかった。
     二色の混ざり合って白くなったその場所に
     私は夢と現実を練り合わせて眺めてみた。
     体の揺れに合わせて窓枠の中に広がるそれらが回り
     残像だけが頭の中の記憶と反応する
     私の内包される宇宙は全て
     その一瞬に
     その境目の一点を目指し
     微かな興奮と喜びと悲しいような少しの痛さとでもって
     凝縮された集中の中
     飛躍と回帰を繰り返し
     断片と空想とを侵食する。
     残るのはやわらかな黒い宇宙と
     掌の力で握りつぶせそうな黄色と
     静かにぬめって流れゆく空
     宇宙は砂山のように常にその形状を変化しているので
     私はその全てをとどめておくことはできないが
     色彩とあの綿のような感触
     それで蓋は開くのだ。






ご感想はこちらまで。
紙田 鏡子 E-mail:kkamita@naoe-ya.cp.jp

Copyright©1998, Lunar Eclipse/K.Kamita& Ryu.All right reserved.