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 存在

     私は膜を剥がす
     皮膚を失くした 剥き出しの柔らかさが 震える
     私はそれを押し広げる
     突き刺してくる 鋭さ
     全ての存在は ぬらぬらと照り返す 白黄色に流れ
     やがてその奥に 黒く細い空間を有する
     私は 引き剥がし 溶かし 奥へ
     深奥へ
     存在することの意識を 削ぎ落とし
     私の魂は 突然 その空間に捻じ込まれる
     私は全身で 対象の存在を感じ
     対象は その全てを 砕き壊された 剥き出しの柔らかな部分のみでもって
     私に入り込み、食い破り、実存しようとする
     私はそれに打ち勝たねばならない
     見極めねばならない
     この痛みと感触を 克明に記録しなければならない
     私はどんな細部のわずかな動きも 感じ取らなければ
     知りたいと思うものは そこにこそあるのだ
     実存しなくとも その鋭さで存在するのだ
     私は全てのものを 引き剥がさねばならない
     私のぎりぎりまで 削ぎ落とさねばならない
     そしてそれが おそらく私の存在の記録になるのだ





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紙田 鏡子 E-mail:kkamita@naoe-ya.cp.jp

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